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さて、夜の伊東温泉の楽しみ・・・
僕にとってそれは、廃れてしまった夜の街をウロつくことでした。
アーケード商店街につながる、ひと気のない路地・・・
その入り口からは、時代に棄てられた物憂げな建物が顔を覗かせていました。

伊東には猪戸新地と新天地というふたつの赤線がかつては存在したのですが、
そんな面影を求めて夜の歓楽街を徘徊です・・・

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営業しているのか?既に廃墟と化しているのか??
どちらかまるで分からない店が建ち並ぶ静寂に包まれた小径・・・
ひょいと引っ張り込まれるのではないかという疑念を抱きつつ歩くのも
なかなかスリリング?で楽しいものです。

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こちらは廃墟マニアには有名?なストリップ劇場「ピンク座」跡。
” 大人の貝酔欲情 ” ・・・絶対テレビでは流せないキャッチフレーズが素敵です!

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ところで、
このストリップ劇場跡からほどなくの場所で
なんとも言えない風情の飲み屋を見つけました。

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居酒屋とか酒場とかいう呼び方よりも、『飲み屋』という言葉が最も似つかわしそうな・・・
しかも入ったが最後、二度と出て来れないのではないか?とも思えそうな妖しい雰囲気も放っていたこの店の名前は、「富久家」。

意を決して暖簾をくぐると、
カウンターに一人、老婆が佇んでいました。

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今年で85歳になるその老女将の話によると、この「富久家」は昭和5年のオープン当時からほぼ変わらずに今に至るそうで、恐らくは伊東最古の飲み屋だと思われます。
ちなみに、”富久” とはこの店を始めた老女将の母の名前・・・

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思いのほか話し好きの老女将を相手に、まずはスーパードライを・・・
結局つまみは、枝豆しかありません。
「ちょっとだけいただいていいかしら」
と遠慮がちに言う老女将のコップにビールを注ぎながら
終わることのない、栄華を誇った頃の伊東温泉の話を肴に
夜は更けていきます。

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いままで数多くの、歳月を経てきた古い店を訪れてきましたが
この「富久家」ほど、現在・・・2020年にもかかわらず
『なぜ自分がこうしてここにいるんだろう?』
と思わせるような場所はそうそうなかったような気がします。
まるで狐につままれたかのような、
店の外に出て振り返るとその姿は忽然と消えていそうな・・・

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結局ビール2本を空にして支払いを済ませ、店をあとに・・・
しばらく歩いて振り返ると、
あたりまえですが、空襲を逃れた戦前の木造家屋に赤ちょうちんの姿・・・
思わず、なんだかホッしてしまったのでした。。。