さて、50年前の第三回日本グランプリを1/43で再現するにあたっては、16台の出場車を揃えるとともに、使用された富士スピードウェイをいかに表現するかも重要なテーマでした。
下の写真は第三回日本グランプリよりも少し後のモノですが、ほぼこれに近い状況を演出するために、4月下旬からは初めての建築模型の世界に手を出し・・・
もちろん図面などなく、設計の経験もなく、いい加減な性格のため昔の雑誌に掲載されていた写真をもとに大きさや各部所の比率を大まかに決め、”考えながら全速力で走る”ことに!?
なので一枚目の画像にあるような自分でつくったテキトーな仕様書だけが頼りです。
しかし慣れない建築模型、当初は戸惑いの連続でした。
軽さと加工のし易さでスチレンボードを使ったのですが、まず接着剤がそれ用のモノでないと溶けちゃいますし、塗料もいつも使っているラッカー系やエナメル系、水性とかが使えません(クレオスのMr.カラーだけは使用可能なことが後に判明しましたが)。
そしてなによりも、スチレンボードには両面に紙を貼ってあるタイプとそうでないタイプがあり、前者はエッジがたってカッコいい建築模型が造れるのですが、基本的には塗装ができないということ。なぜなら塗料に含まれる水分を紙が吸収し、乾燥する時にその水分が蒸発すると同時に紙が縮んで全体が歪んでしまうからなのです。
実際今回はサーキットの路面をB2サイズの3枚のスチレンボードで造っているのですが、最初にネットで入手したモノがその紙を貼ったタイプだったので使い物にならなくなって買い直すハメになってしまいました。
建築模型を作り慣れた方にはあたりまえのことでも、門外漢の僕にとっては驚きの連続・・・
で、まず着手したのはこのピットだったんですが、富士のピットは非常に長いので、そのうち3ブロック分を再現することにしました。
タミヤの3mmプラ角棒でフレームを組み、建築模型用のプラ製波板を屋根として使用。もちろん一番心がけたのは、当時の看板の再現でした。
2番めの写真でも分かるように、この第三回日本グランプリが行われた時にはコントロールタワーに近い方から数枚のコカコーラ、ウイン減摩剤が一枚、そして複数枚のブリヂストン・・・といった感じで広告看板が設置されていたため、各1枚ずつを再現しようと思い、当時の旧ロゴや広告物の画像をネットで拾って会社の同僚のデザイナーに基データをつくってもらったのですが・・・
ウイン減摩剤は資料が皆無、ブリヂストンも”タイヤ”の古い文字がなかなか入手できずにアセったんですよねェ~
でもあの当時のノスタルジックな雰囲気、けっこう出てると思いません?
次につくったのはこのピットの隣の小さなプレハブ2階建ての建物でした。
こちらは透明プラ板を使い、窓部分はマスキングテープで表現・・・
いかにも安普請な外観の雰囲気を忠実に出してみようと思ったのですが、決定的なミスを犯してしまい・・・
というのも深夜にアセって作業を進めていたせいか、うっかりしてフィギュアを入れるのを忘れたまんま床と屋根をガッツリ接着しちゃったんですよねェ~
あーあ・・・
こちらは透明プラ板を使い、窓部分はマスキングテープで表現・・・
いかにも安普請な外観の雰囲気を忠実に出してみようと思ったのですが、決定的なミスを犯してしまい・・・
というのも深夜にアセって作業を進めていたせいか、うっかりしてフィギュアを入れるのを忘れたまんま床と屋根をガッツリ接着しちゃったんですよねェ~
あーあ・・・
さあ、最後はこの富士スピードウェイの象徴とも言える特徴的なデザインのコントロールタワーです。1966年1月3日のオープン時から改修により2003年に一時閉鎖されるまで、このサーキットの中心となる存在でしたが、今はもう取り壊されてしまいました。
竣工当時はグレイにペイントされていたようで、僕も2、3度間近で見たことがあるのですが無骨なイメージしかなかったこの建物・・・よく観察してみると、8本の太い円柱を用いた変則八角形という複雑な幾何学的デザインの魅力的な建造物だったんですねェ~
ガラスで覆われたスペーシーな空間はいかにも1960年代的な未来をイメージさせるカッコよさを感じさせてくれます。せっかくなので武骨さよりもその良さを前面に出すべく・・・
それを再現してみたのがコチラなんですが、その8本の柱はバルサ材、床は5mm厚のスチレンボード、ガラス部分は透明プラ板に白のマスキングテープで窓枠を表現してみました。スケールについては実物通りの比率に計算すると大きすぎるのでやや小さめに設定することに・・・
で、8本の柱の根元の部分はなかなかいい材料が見つからなかったので横浜ルミネの世界堂で入手したホルベイン水彩絵の具(一本380円!)のキャップです!
「これ、キャップだけ別売りしてるなんてこと、あります?」
と一応店員さんに訊いてみたんですが、困惑した表情で
「それはちょっと・・・ないんですよね~」だって。
(この店員さんがまた1960年代のモデルさんみたいな感じでキレイだったんですョ・・・♥)
しかしこのコントロールタワーは難工事でした・・・
やはり冒頭でご紹介したようないい加減な仕様書では手に負えるモノではなかったようで、スチレンボードに柱を通して(これ、穴開けるのけっこう大変だったりします)基本フレームをつくり、あとはガラスを貼っていこうかなァ~って感じで順調に作業を進めていき、
いよいよ3階部分というところで・・・
あれ?
やっぱ何かおかしい・・・
最上階は同じカタチの台形ガラスが3枚横に並ぶはずなんだけど、これじゃあ無理じゃん!?
最上部の屋根の張り出しが少なすぎだぁ~と気づいたのが夜中の2時!
しょうがないので今更ではありますが屋根をエイヤっで増量(?)して、
ここまで漕ぎ着けたのは時計の針が朝の4時を回った頃でした・・・
難工事の末にやっとギリギリ5月3日に撮影できたのですが、
心残りだったのは出入り口に通じる螺旋階段まで手が回らなかったこと。
なので中のフィギュアも一生外に出れないョ・・・
で、悔しかったので遅ればせながら、きのう螺旋階段もつくってみました。
画竜点睛を欠く状態・・・これでやっと解消されたかナ。
でも・・・建築模型はホントに疲れましたョ。。。。
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