一昨日は、念願だった向島の割烹「美家古」に遂におじゃますることが出来ました。まだ陽が残る6時過ぎに到着すると、玄関まわりには打ち水がされ、行灯には明かりがともっていい雰囲気・・・
なんだか素敵な夜になりそうな期待が膨らみます・・・
さて、さっそく白塀を入って玄関へ・・・「美家古別館」と記された魚の形をした木製の看板は、本館を戦災で焼失してしまい、かろうじて別館だけが残ったという、この向島で唯一の戦前の姿を残す老舗料亭の歴史をも垣間見せてくれるような気がします。
※もちろんこれは後で撮ったモノ。実際に入店した時は、女将さんやお姐さんに優美なお出迎えをしていただきましたョ!
大正末期に建てられた料亭建築は国の登録有形文化財。
様々な材料を駆使した、実に艶っぽい木造建築・・・
そしてなんといっても素晴らしいのは、この中庭に沿った廊下でしょうか・・・
幾何学的な意匠を持つ何枚もの木製建具が織りなす景色は、案内されて奥に進むほどに変化し、訪れた客人の目を楽しませてくれるのです。
で、通されたのは、気持ちのいい庭に面した端正なお座敷でした。
シンプルながらも、これまた天井に至るまで色んな木を使用した凝った造り・・・
ここで一休みしてから
予め僕が旧い料亭建築に興味がある旨を伝えておいたので、御主人に他の部屋も案内していただきました。
隣の小さめなお座敷(↑)に、中庭に面した茶室(↓)・・・
階段で二階へ上がると、そこにも件の幾何学模様の建具が使われ、廊下とはまた違った景色が・・・
二階の大広間。
一度でいいから、こんな場所で大宴会とか開いてみたいもんですよねェ~
そして大広間の反対に位置する、この「美家古」で最も凝った意匠を施された座敷へ・・・
もう入り口から和の伝統建築の遊び心が満載です!
さあ、建物を堪能したあとは、
部屋に戻っていよいよ食事をすることにしたのですが、
美しい器に初夏を感じさせる盛り付け・・・というか粋な季節の演出をほどこされた料理が次から次へ・・・
ところで・・・今回はふたりの芸妓さんに来ていただいて、僕にとっての”お座敷初体験”となりました。向島花柳界では”一本”と呼ばれるお姐さんと、若い”半玉(はんぎょく:京都で云う舞妓)”さんの組み合わせなのですが、客をノセてお酒を勧めるのが上手い!
さすがプロ・・・って感じで、あっというまにビールから冷酒。
ついイイキモチになって、調子に乗って飲んじゃいます・・・
でもコレ・・・なんか楽しいよネ!
技工の粋を凝らした歴史ある料亭建築で飲む酒、
そしてすぐ横には和のエレガンスを醸し出す着物姿の美しい女性・・・・
もうタマリません・・・!
途中で行ったトイレも、凝った造りでつい嬉しくなって、
戻ってまた酒を飲み・・・
でもこの素晴らしい料亭建築を目に焼き付けようと必死で酔っ払わないようにしていたのですが・・・
デザートの頃には相当デキあがってきてなんだかクラクラ・・・
外の庭も完全に日が落ちて、石灯籠の明かりが涼を感じさせるよなァ・・・
向島「美家古」の魅惑的な夜は、
こうして静かに更けていったのでした。。。
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