
桂川に面した窓を開け放って眺める景色は、これ以上の爽やかさは無いんじゃないかと思えてしまうほどでした。
しばらくすると、いかにも老舗旅館らしい朝食が部屋に運ばれてきます。


食事のあとは、せっかくなので朝風呂へ・・・
『あやめ風呂』は昭和7年の竣工。前日入った『天平大浴場』に隣接する小振りな風呂なんですが、

奥にはあやめの花を形どった小さな浴場もあったりしてなかなかチャーミング!
周囲の緑色の細長いタイルは、青竹かな?



ところでこの風呂、庭の池とつながっているので悠々と泳ぐ大きな錦鯉も鑑賞することが出来るんですョ!
ここも含めて、この「新井旅館」の風呂場は池の魚が見えるような造りになっているものが多いんですが、風呂嫌いだった芥川龍之介もここの風呂だけは水族館のようだと喜んで入ったんだとか・・・
ちなみに下の写真は、風呂場の窓から撮ったモノ。

さあ、食事もしたし風呂にも入れたし、
いよいよチェックアウト。
しかしこの「新井旅館」、まだまだ観たい場所があるのです。
それは・・・

支払いを済ませたあとは、フロントから階段を降りて建物の前の道路をくぐる地下道へ・・・
道を隔てた反対側にはこの旅館の離れが点在しているのですが、


そのうち最も大きな『山陽荘』にやってきました。


シンプルな書院造りのこの『山陽荘』は、かの横山大観のために居室兼アトリエとして昭和3年に建てられたもの!
「新井旅館」には、川端龍子や前田青邨、川合玉堂などの画家や、
尾崎紅葉、泉鏡花、島崎藤村、川端康成などなどの小説家など、
数多の文人墨客が訪れていますが、
こんな立派なアトリエを建てちゃうなんてねェ~
今で言うところのメセナ・・・芸術家を支援する姿勢がこの旅館には昔からあったんだなァ~


そんな「新井旅館」のパトロン的な姿勢の象徴のようなこの『山陽荘』は、
今は書道家の金澤翔子の美術館として使われています。
ハンディキャップを抱えながら、骨太で力強い作品を生み出す彼女の作品が、自然光の中・・・優雅で繊細な木造建築にひときわ映えて、思わず見入ってしまいます。
なんだろう・・・魂というか生命力というか・・・









朝からひとしきりココロ動かされたあとは、
いよいよ浄蓮の滝に向けて出発・・・
その建物だけではなく、長い年月をかけてこの宿が培ってきた歴史・文化・伝統・芸術にあまりにも濃~く触れることのできた「新井旅館」での滞在も、これでオシマイです。
長らくのお付き合い、ありがとうございました。。。
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