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このブログでも何度か御紹介させていただいた、僕が最も心動かされるレーシングドライヴァーが、この アーチー・スコットブラウン(Archie Scott-Brown)。

1927年にスコットランドで生を受けましたが、
母親が妊娠中に風疹を患っていたために、その影響で生まれながらにして右腕が肘のあたりまでしかなく、両脚も極端に短くしかも同じ長さではなかったために、後年クルマを運転する際にも特殊なペダルを装着する必要がありました。

そんな彼は、幼い頃に父親から与えられた車椅子を走らせるうちにスピードに目覚め、ハンディキャップをものともせずにレースを始めるように・・・


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神様に与えられた特別な才能の成せる業なのか・・・スコットブラウンは豪快かつ慎重なドライビングスタイルで頭角を現し、ブライアン・リスターとの友情も築き、主に英国内のスポーツカーレースでリスターマセラティ、そしてリスタージャガーを駆って当時のスタードライヴァー、トニー・ブルックスやスターリング・モスと死闘を繰り広げるまでになりました。
F1に辿り着いたのは・・・1956年の英国グランプリ。コンノートで出場しましたが残念ながらリタイヤに終わり、チームは次戦のイタリア・グランプリにもエントリーをしていたのですがスコットブラウンは出場を拒否されてしまいます・・・

というのも、ヨーロッパ大陸のレース主催者は彼の持つ障害を危険とみなし、参加することを許可しなかったという背景があったのです。

長らくヨーロッパ大陸のレースから締め出されていたスコットブラウンに朗報が届いたのは1958年、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットで行われる『グランプリ・オートモビル・デ・スパ』でした。
希望に胸を膨らませ、愛機であるVPP9のレジストレーションナンバーを持つワークス リスタージャガーとともに、彼は初のヨーロッパ大陸へ・・・




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そのレースのプラクティスを2位で終え、リラックスするアーチー・スコットブラウン(左)とブライアン・リスター・・・

予選でライヴァルと目されたポール・フレールとキャロル・シェルビーがドライヴする2台のワークス アストンマーチンDBR2は、パワーはあるもののバランスが悪く、ロードホールディングに優れたリスタージャガーの敵ではありませんでした。
敵は、プライベーターであるエキュリーエコッスからエントリーした同じリスタージャガーに乗る予選1位のマステン・グレゴリーのみ!


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さて、決勝レースが行われたのは、
1958年5月18日・・・
そう、ちょうど60年前のきょう!

直前に雨が降るなど、不安定な天候のスパ・フランコルシャンサーキット。
傘をさしかけられ、誰かと談笑するスコットブラウンの脳裏をかすめたのは、
勝算か?レースが出来る喜びなのか?それとも緊張?もしくは不安なのか・・・

で、その様子を・・・
1/43で再現?してみました!
あくまでフンイキだけですけどネ・・・

当時撮影されたレース中の貴重なショットやイラスト、記録映像(!)とともにお楽しみください!!

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英国内のサーキットよりも一周の距離が長く、アップダウンに富んだこの高速サーキットへの対策なのか、スコットブラウンの愛機VPP9はボンネット上部、左右フェンダーに熱抜きと思しき開口部が追加されているのが分かります。

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ゼッケン17はポールポジションのグレゴリーのリスタージャガー、真ん中にスコットブラウン、手前には予選3位のポール・フレール駆るアストンマーチンDBR2・・・
コース上から人々の姿が消え、
緊張が高まり・・・

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そして、スタート!

上り坂でそのエンジンパワーの威力を発揮して2台のアストンマーチンがリードを奪いますが、すぐさま2台のリスタージャガーが抜き、あとは一周毎にスコットブラウンとグレゴリーがトップを入れ替わりながらデッドヒートを繰り広げ・・・

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ファーストラップで早くもグレゴリーのマシンに接触し、フロントを凹ませているスコットブラウンのリスタージャガー・・・!

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2台のリスタージャガーは数周にわたり危険も顧みず接近戦を繰り広げていましたが、突然、レース直前に降った雨による水たまりにスコットブラウンのリスタージャガーがスリップ!

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コントロールを失ったマシンは標識にホイールをもぎ取られ、立木に衝突!クラッシュして大炎上となり・・・

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頭部を強打し、全身火傷を負ったスコットブラウンは救出されたものの、翌日病院にて死去。
享年31才・・・


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力感漲る美しいボディを持つリスタージャガーを駆って、数々の名勝負を繰り広げてきた『隻腕の名手』が憧れたヨーロッパ大陸での初めてのレース・・・皮肉なことにそれは、彼にとって波乱に満ちた人生における最期のレースとなったのでした。。。