1957年のシーズンから投入されたこのマシンは、当時英国内で最強を誇ったアストンマーチンDBR1とも互角に戦える力を持ち、スコットブラウンはスターリング・モスなど名だたる名手とバトルを繰り広げることになったのですが、彼の『VPP9』のリスタージャガーはグリーンのボディに太い黄色のストライプが入れられ、フロント開口部はシルバーにペイントされることが多かったようです。
その詳細が分かる資料は少ないのですが、カラーを含む何枚かの英国内で撮影された写真を幸運にもネットで見つけることができました。
さて、今回1/43で再現したスコットブラウンのラストマシンは、仏ルネッサンス社製のレジンキットを改造して組み立てたものです。
VPP9の特徴的な、盛り上がったフロントフェンダーを上手く表現している非常にクオリティの高いキットなのですが、スパ・フランコルシャン仕様にするために左右のボディに3列の金網で覆われたスリット、ボンネット中央部には三本の細いスリット、及び右フェンダー上部に6つの開孔を追加してあります。
また、このレースではリアのゼッケンサークルも義務付けられていたようなのでそれも追加。
黄色いストライプはデカールではなくマスキングして塗り分けたんですが、ヘタですねェ~相変わらず・・・
また、このレースではリアのゼッケンサークルも義務付けられていたようなのでそれも追加。
黄色いストライプはデカールではなくマスキングして塗り分けたんですが、ヘタですねェ~相変わらず・・・
そしてなによりも苦労したのがドライヴァーズシートのアーチー・スコットブラウン!
マシンと同じにペイントされたヘルメット、透明なバイザー、首から下げたゴーグル・・・
洒落者だったスコットブラウンらしい服装は、上の写真を参考にネイビーのセーターに水色のシャツ、真っ赤なスカーフとしてみました。
『隻腕の名手』の呼び名の由来となった右腕も、資料写真に忠実に・・・
ところで意外と頭を悩ませてくれたのがゼッケンサークル内の『16』でした。円に比べて極端に小さな数字が使われているのですが、左側のドアだけは大きな数字が!
モデルカーとして極端に不自然に見えないように、バランスをとって大きさを少し近づけているのですがいかかでしょう?
(実車の写真は昨日の記事をご参照下さい)
GWのほぼ全てを費やしてやっと完成した、
スコットブラウンのワークス リスタージャガー・スパ仕様・・・
で、せっかくなので、そのライバルであるマステン・グレゴリーのマシンも!
僕が25年以上前に造ったこの美しいダークメタリックブルウに白い横ストライプがフロントに入れられたリスタージャガーは、スコットランドのエキュリーエコッスが米国人であるグレゴリーをドライヴァーとしてエントリーしたものなのですが、スコットブラウンのマシンと比べて随分となだらかなフェンダーラインを持っています。
これはその昔、同じく仏のプロバンス・ムラージュから発売された黄色いボディでルマンに出場したクルマをキット化したものを大改造したんですが、僕の製作能力が最も高かった頃なので、さすがに透明バキュームパーツは黄ばんでしまいましたが、今でもボディにはツヤがあってなかなかいい状態でした。
なにしろ扱いの難しいメタリック色にデカールをキチンと貼って上からクリア吹いてツライチにしてるもんなァ~
流石に手先の器用さが低下して目も悪くなった今では、
ここまでやるのはちょっと無理かも・・・
ちなみにグレゴリーがかけていたメガネもちゃんと作り込んでいるんですョ!
こうして改めて眺めると、プロヴァンスもいいプロポーション再現してますよネ!
ホントは当時、このキットで先にスコットブラウンのラストマシンを作ろうとしたんですが、余りにも資料が乏しかったのと、なんとなくその時は控えた方がいいような気がしてこのグレゴリーのマシンにしたのですが、その後四半世紀を経てインターネットというモノが使えるようになり、多少は資料も揃ってやっと2台のリスタージャガーを完成させることが出来ました。
ある意味テクノロジーに感謝・・・ですかネ!?
ところで僕がこの2台が激しく競ったスパ・フランコルシャンでの60年前のレースについて知ったのは、自身このレースに出場したベルギーモータースポーツ界のレジェンドであり「CAR GRAPHIC」誌でもお馴染みだったポール・フレールが著した二玄社刊『ポール・フレール レースを語る』でした。
今から30年ほど前に神保町の古書店で購入したのですが、その記述がある『惨事』という部分を再録してありますので、御興味ある方はぜひ読んでみてください、
(大きく拡大できます)
僕がリスタージャガーというマシンを詳しく知り、アーチー・スコットブラウンというドライヴァーに心酔するようになったことの全ては、ココから始まったといっても過言ではないのですから・・・
さて、これでスコットブラウンとリスタージャガーの話もオシマイです。
かつて、半世紀以上も前に繰り広げられた、運命によって自分に課せられたハンディをものともしなかった不屈のドライヴァーと、美しくも獰猛なレーシングマシンの物語・・・
古のモータースポーツ好きにとっては、かけがえの無い宝石のようなストーリーだと思いませんか。。。?
コメント