実は今回の旅は、宿泊もホテルなどではなく伝統的な佇まいの日本旅館、食事も全て昔ながらの料亭建築を残す老舗で・・・と決めていたのですが、その初回に選んだのがこの大正時代の建物がそのまま残る「山錦楼」なのです。
金沢の寺町と言われるエリアにあり、蛤坂の途中にある「山錦楼」の店舗は、この場所に移転してきた大正11年に建てられ、その後昭和初期にかけて増築されて今の姿となりました。
道に沿ってアールを描く木造三階建て・・・裏にあたる犀川から眺めると四階建てなのですが、地下(?)部分を含めるとそうなるのです。
いずれにせよ、これほどの大型料亭建築自体がもはや全国的にも珍しい存在・・・
かつては、その高さでも周囲を圧倒したであろう 歴史の重みを感じさせる佇まい・・・
その上、目立つ店名看板などは一切なく、この表札のみ。
いかにも敷居が高そうな感じですよネ!
到着前から準備していただいたのでしょう・・・
店の前につくと引き戸が開き、女将さんに出迎えていただきました。
中は・・・
重厚な外観からは想像もつかない、コバルトブルウに彩られた世界・・・
まず始めに通されたのは玄関すぐの場所にある待合室。そこに何気なく置いてあった精巧な細工を施された煙草盆からも、この料亭の凄みが・・・
お茶を出していただいて一服した後に、準備が出来たようなので階段を上がって三階へ・・・
通されたのは竹の間。うぐいす色の壁を持ち、遊び心に溢れた意匠を持つ華麗な(?)お座敷でした。
犀川をはるかに見おろす絶景を楽しみながら、まずはビール。
そして先付を・・・
料理もそうですが、器も素晴らしいですよねェ~
年代モノと思しき塗物の蓋に映り込む、雪見障子と青い空も・・・実に美しい!
お造りが出てきたところでキリンラガーも2本めに突入・・・
そのタイミングでトイレに行ったんですが、あらためて見るとこの階段室って、ホント複雑かつ幾何学的な造形だよなァ~と感心してしまいます・・・
大きくて脂の乗ったカマス(↑)に加賀名物の治部煮(↓)。
昔ながらのしっかりした味付けで酒も一層すすみ・・・
古い九谷焼と鮑・・・これはもう最高の組み合わせ!?
締めのイクラご飯とデザート・・・
美味いモノって、やっぱ料理は当然としてそれを盛り付ける器、その器が出される場所やそこに流れている空気…にも満足できなきゃダメなんだよなァ~
な~んて贅沢なコトを偉そうに再認識してしまった金沢・「山錦楼」・・・
ちなみに上の写真は隣の部屋、松の間なんですが、コチラも素敵!
大正時代に建てられた和の摩天楼?で、色とりどりの加賀料理を堪能して、ふと外廊下奥のステンドグラスから外を眺めてみると・・・
そこには…さっき渡ってきたばかりの犀川大橋の姿が、まるで昔日のネガフィルムのひとコマのように 赤く小さく映し出されていたのでした。。。
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