イメージ 1

イメージ 2

熱海市渚町・・・・
有名な洋食店「スコット」の隣にある純喫茶「田園」は、
一見何の変哲もない”昭和な”喫茶店に見えました。
しかし、店内に一歩足を踏み入れるとそこは摩訶不思議な空間・・・・
店の中央には白い、まるでモディリアニが描く女性のようなオブジェが3体、
そしてその下には池が・・・・
池には錦鯉まで泳いでいます・・・・

イメージ 7

イメージ 8

イメージ 9

僕と同じくらいの年代のご主人によれば、
この店は昭和34年にご主人のお父さまが始められたそうで、
店舗デザインなども好みに合わせて造ったとのこと。
白を基調として天然大理石をふんだんに使い、ロココ調の天井装飾や
椅子の上の葡萄をあしらった木製の行燈パネル・・・・・
(本来このパネルは電気を入れると内側からパープルに灯る仕組みだったとか・・・見てみたいもんです)

純喫茶にしてはあまりに耽美的な世界です。
また、厨房には旧式な かき氷用機械に
最高級エスプレッソマシーン、エレクトラを思わせる鷲を頂に配した珈琲保温用のマシーン・・・・

セピアな世界の美しい内装とクラシックな機械の組み合わせ・・・・
純喫茶「田園」は今回の熱海で最大のサプライズだったかもしれません。

イメージ 10

イメージ 11

イメージ 12

イメージ 13

イメージ 14

最盛期は地下と2階を使って朝から夜中の2時まで営業し、
東洋一の歓楽街の一等地にふさわしい繁盛をみせたこの店も、
土曜の夜だというのに客は僕ひとり・・・・
贅をつくし、創業当時のままの芸術然とした雰囲気の店舗が残る純喫茶「田園」、
もっと見直されて然るべきなのになァ・・・・と思ってしまいます。

ところでこの店で僕は、
なんだか不思議な既視感にとらわれてしまったのですが・・・・

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

家に帰ってからその理由が分かりました。
篠山紀信が出した
馬込に残る三島由紀夫の自宅の写真集・・・・
建築様式こそ違いますが
色調、装飾、オブジェ・・・・なんだか僕のアタマの中でクロスしてしまったんでしょうねェ・・・・
しかし「ボンネット」の記事でもご紹介したのですが、
熱海にもよく来ていた三島由紀夫・・・・純喫茶「田園」を始めた創業者との接点は無いと言い切れるのか・・・
二人が出会って芸術論を交わし、三島の美的影響をこの店が受けた可能性は・・・・
まァ、おそらくは僕の妄想なんでしょうが・・・・

奇しくも三島由紀夫邸が完成したのは
「田園」がオープンしたのと同じ昭和34年のことだったそうですが。。。。