やってきたのは戦前の東京の面影が残る根津でした。
帰宅ラッシュでスシ詰め状態の千代田線を降りて地上に上がると、
なんだかホッとする光景が広がります・・・
大通りから一本入った路地を根津神社方面へ・・・
雨に濡れた路面を照らす、居酒屋や小料理屋の看板がいい感じ。
しかし、雨脚はますます強く・・・
しばらく歩いていくと
目的の店が見えてきました。
赤い提灯が吊るされた木に遠慮するように佇む、崩れ落ちそうな日本家屋・・・
居酒屋「根津の甚八」です。
う~ん・・・
とても2018年の東京とは俄には信じることの出来ない光景・・・
しばし見惚れていたのですが、
雨も本降りになってきたようなので
さっそく中へ。
女将さんが一人で切り盛りされているこの「根津の甚八」、実はこの店は昔からあったのですが、その時のご主人が一度店を閉め、その後荒れた状態だったのを現在の女将さんがキレイに直して引き継ぎ、店名もそのままに22年前に始めたそうなんです。
店の名は真田十勇士、大坂夏の陣で幸村の影武者となって討ち死にした武将、根津甚八に因んでいるそうで・・・
それにしても、
時の止まった・・・
としか表現しようのない空間。
聞こえてくるのは、雨の音だけ・・・
しかし雨音というのは、
今いる場所とか時代とか、そんな当たり前のような常識的感覚を鈍らせて、
時空を捻じ曲げてまるで戦前のTOKYOにタイムスリップしたかのような気分にさせてくれるもんです。
そういえば映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、デロリアンがタイムマシンと化したのも土砂降りの雨の中でしたもんねェ・・・
さてさて、
そんな妄想はちょっと脇に置いといて、
さっそくビールを・・・
お通しのモズクに
まずはクリームチーズの醤油漬け。
年季の入った木製カウンター越しのこんな景色を眺めながら、それらを飲み食いできる・・・これは、もう至福の時間です!
鯖の燻製サラダ・・・
そしてワタの入った烏賊を食べていると、
さすがに日本酒が呑みたくなってきましたョ!
〆は鳥の紅茶煮を・・・
しかし、ここは酒の肴も実に旨いんですよねェ~
この調子で飲んでると、しまいには奥の座敷で寝たくなっちゃいそうなんで、このあたりでお開きとしますか・・・
女将さんのハナシでは、
戦災を逃れたこの根津界隈も代替わりが進み、以前はよく見ることのできたこのような長屋建築もどんどん減ってマンションになってしまっているそうです。
なので築百年以上の日本家屋で未だに居酒屋を営むこの「根津の甚八」は、
その存在自体が大げさではなく現代の奇跡とも言えそうです・・・
相変わらず降り続く雨・・・
振り返ると、
妙に後ろ髪を引かれる思いにさせてくれる
「根津の甚八」の姿がそこにはあったのでした。。。
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